皆さんこんにちは。今回は、梅雨や台風シーズンに備えて職場で検討すべき「水害BCP(事業継続計画)」について解説していきます。
ここ数年、各地で記録的な豪雨が発生し、オフィスや倉庫が浸水して業務が長期間ストップする事例も増えています。
「出勤できない」「設備が水没した」「顧客対応ができない」──そんな事態を避けるには、事前の備え=BCPが重要です。
基本的な考え方のヒントを書いていきますので、参考にしてみてください。
1. 浸水リスクを正しく把握する
まずは、自社の立地・建物のリスクを明確にしましょう。
- ハザードマップを確認
- 自社・支店・倉庫などが「浸水想定区域」に入っていないか
- 想定される浸水深や河川氾濫リスクを把握
- 周辺環境をチェック
- 川や用水路の近くにないか
- 周囲の地形(低地・傾斜地・マンホールなど)
- 過去の浸水履歴を調査
- 近隣で過去に床上浸水があったか
- 住民の声・地域防災情報も参考に
2. 建物と設備の浸水対策
被害を最小限にとどめるため、建物と備品の守りを固めましょう。
- 物理的な防御策
- 出入口に「止水板」「土のう」を設置できる体制を用意
- 排水溝や側溝のゴミ詰まりを日常的に点検・清掃
- 設備の配置見直し
- サーバー・PC・タップなどは床上に設置
- コピー機や精密機器は移動可能なキャスターラックに載せる
- 倉庫・保管場所の工夫
- 資材や書類は下段に置かず、棚の中段以上に整理
- 貴重品や重要書類は耐水ケースで保管
3. 出社判断と通勤リスクの共有
安全第一で「出社しない」判断も業務継続の一部です。
- 出社基準の事前設定
- 大雨警報・避難情報発令時の原則在宅勤務ルール
- 公共交通の運休・遅延時の出勤免除などを明文化
- 従業員への周知
- 社内LINE・メール・掲示などで、判断ルールを平時から共有
- 直前ではなく、前日の段階で「判断を下す」体制づくり
- 出勤困難者への対応
- 在宅勤務が難しい職種は、電話やメールだけの対応に限定
- 出勤せずとも“命令待ち”で待機できる制度設計も
4. データ・通信・顧客対応の維持策
業務を止めないためには「中の人」と「外との連絡」の両方を守る必要があります。
- データ保全
- 業務データ・顧客情報はクラウド管理が基本
- サーバーは自社管理よりも外部データセンターへ
- 通信手段の多重化
- 社用携帯・社内チャット・SNS連絡網など、複数経路を確保
- 電話回線のダウンに備えて、インターネット通話も選択肢に
- 業務の優先順位化
- 「絶対に止めない業務」と「一時中断しても問題ない業務」を事前に分類
- 優先順位に応じた対応フローを定めておく
5. 計画と訓練は“使える”状態に保つ
作っただけのBCPでは意味がありません。定期的な見直しと訓練が大切です。
- BCPの定期更新
- 年1回の見直し(組織変更・設備導入・移転などを反映)
- 記録として残し、全社員へ周知
- 災害を想定した訓練
- 年1回以上の「浸水想定訓練」を実施
- 対応マニュアルの読み合わせや担当者間のシミュレーションも有効
- 外部支援との連携
- 地域の消防団・自治体と連携し、避難情報の共有体制を確認
- 水害時の復旧業者や清掃業者との事前契約も検討
まとめ|「備えた分だけ被害は小さくなる」
いかがでしたか。
水害による業務停止は、どの業種・職種にも起こり得るリスクです。被害を抑える工夫や行動は、日々の積み重ねで実現できます。
- 自社の浸水リスクを正しく知る
- 建物や備品の保護策を講じておく
- 出社判断を明確にして従業員の安全を守る
- データと顧客対応を止めない仕組みを整備
- 定期的な訓練と見直しで実効性を維持
水害対策は「大げさ」ではありません。
“あのとき備えておいてよかった”と、胸を張れる職場づくりを目指しましょう。
今回もありがとうございました。
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