皆さんこんにちは。今回は、職場の防災対策として見落とされがちな「屋上」と「ベランダ」に焦点を当ててみましょう。
建物の浸水というと、まず「1階や地下」を思い浮かべませんか。
実は、屋上やベランダからの“上からの浸水”が原因で、雨漏りや設備故障、情報資産の損失に繋がるケースも少なくありません。
水の出口がふさがれると、たまった雨水は思わぬルートで建物内部へ入り込みます。
今回は、そうした“盲点”をどう防ぐか、一緒に考えていきましょう。
1. 排水口のつまりが招く「局所水害」
もっともよくある原因が、排水口の詰まりによる雨水の滞留です。
- ベランダ・屋上の排水口に落ち葉やゴミ(ビニール袋やタバコの吸い殻など)が詰まり、排水できなくなる。
- 数時間の豪雨でも、水が数十cmたまり、
- 室内への浸水
- 壁や天井からの雨漏り
- 階下への水のしみ出し
を引き起こすことがある
- 原因に気づかないまま「外壁の不具合」と誤認されることも多い
2. ベランダ・屋上に置かれた備品の“二次被害”
風と雨が重なると、屋外に置いてあるものが流され、排水口をふさぐ・飛散するリスクが高まります。
- 備品の飛散・転倒による被害
- 鉢植え・スチール棚・収納箱が風で動いて排水口をふさぐ
- プラスチック類が飛んで窓ガラスを割るなどの事故も
- 水たまり化したベランダが“プール”状態に
- 屋内への逆流や階下への漏水を誘発
- 特に高層ビルでは風が強く、物が跳ね返って窓を破損する事例も
3. 防水シートの劣化や破損の見落とし
屋上の防水処理の劣化も、水の侵入経路になります。
- 雨水が排水されずに溜まると、
- ヒビ割れからゆっくりと室内へ侵入
- 内部の配線や電気設備にダメージ
- 防水層の浮きやはがれは見た目では分かりづらく、
- 年数が経つほどリスクは上昇
- 雨が上がってから数日後に「天井からポタポタ」といった遅延浸水が発生するケースも
4. 「定期清掃」の抜け落ちがトラブルを招く
多くの職場で見落とされているのが、屋上やベランダの清掃頻度と責任者の不在です。
- 管理部門の盲点になりやすい場所
- 屋上や非常階段のベランダなど、誰も日常的に出入りしない場所
- 清掃契約があっても「年1回のみ」では不十分な場合も
- 大雨前のチェック項目として、
- 排水口の確認
- 備品の固定・収納
- 雨水の流れの確認
を「ルーティン化」する必要あり
5. 被害を防ぐための“ひと手間”対策
すぐにでも始められる簡単な対策を、事前のルールとして整えておきましょう。
- 雨の多い季節の前に
- 月1回のベランダ・屋上清掃を実施
- 排水口の目視確認を習慣にする
- 強風・大雨が予想される日の前には
- 備品の屋内収納またはロープ等で固定
- 簡易止水板の準備
- 被害発生時の初期対応フローも共有しておく
- 「誰が」「どこに連絡するか」「何を止めるか(電源など)」を整理
まとめ|“高い場所”こそ注意せよ
いかがでしたか。
ベランダや屋上は、高い場所にあるからこそ被害の影響範囲も大きくなります。
水が溜まれば重さも加わり、建物構造や配線設備に深刻なダメージを与える恐れもあります。
- 排水口の詰まりは“発生前”に防ぐ
- 飛散物は「しまう」か「固定する」
- 屋上・ベランダは“管理対象”として明確化する
ちょっとした手間をかけるだけで、後の大きな損害を回避できます。
「うちは大丈夫」ではなく、「念のためやっておこう」という備えの視点で、ぜひ今すぐ、職場のベランダと屋上を見直してみてください。
今回もありがとうございました。
コメント