皆さんこんにちは。今回は、危険物の運搬、積載方法について解説していきます。
いよいよ危険物の規則分野についての解説です。前回から変わらず、わかりやすい表現を心がけたいと思っていますので、全4回、お付き合いください。
運搬においては、数量に関係なく一定の安全基準が適用されます。特に「容器の規格」「積載方法」「表示義務」などはよく出題されます。
一緒に確認していきましょう。
1.運搬の基本ルール
危険物の運搬には、以下の3つの技術上の基準が定められています。
- 運搬容器の基準
- 積載方法の基準
- 運搬方法の基準
☑ ポイント
これらの基準は、指定数量未満の危険物にも適用される点に注意。
2.運搬容器の基準
危険物の性質に応じた構造・材質・容量の容器を使用する必要があります。使用可能な容器材質の例は以下のとおりです。
使用可能な容器材質 |
---|
鋼板、アルミニウム板、ブリキ板、金属板 |
ガラス、紙、木、プラスチック、ファイバー板 |
ポリエチレン、合成繊維、麻など |
※使用する容器は、政令・省令で定められた基準に適合している必要があります。
3.積載方法の基準
容器の積み込みや表示に関する基準は、事故防止の観点から厳密に規定されています。
基準項目 | 内容 |
---|---|
正規の容器使用 | 必ず基準に適合した容器に収納して運搬すること |
塊状の硫黄(例外) | 容器に入れず運搬しても可 |
落下・転倒・破損の防止 | クッション材やベルト等で固定する |
容器の口(ふた)の向き | 液体の場合は上向きにして積載する |
容器の表示 | 危険物の品名・危険等級・化学名・水溶性(第4類)を明示すること |
4.運搬容器の表示義務
運搬中の容器には、次の項目を外部に明確に表示することが義務づけられています。
- 危険物の品名
- 危険等級
- 化学名
- 水溶性の有無(第4類の場合)
- 危険物の数量
- 収納する危険物に応じた注意事項(下記の表参照)
危険物の種別 | 注意事項 |
---|---|
第一類 (アルカリ金属の過酸化物またはこれらの含有物) | 火気、衝撃注意・禁水 可燃物接触注意 |
第一類(上記以外) | 火気、衝撃注意 可燃物接触注意 |
第二類 (鉄粉、金属粉、マグネシウムまたはこれらの含有物) | 火気注意 禁水 |
第二類(引火性個体) | 火気厳禁 |
第二類(上記以外) | 火気注意 |
第三類(自然発火性物品) | 空気接触厳禁・火気厳禁 |
第三類(禁水性物質) | 禁水 |
第四類 | 火気厳禁 |
第五類 | 火気厳禁、衝撃注意 |
第六類 | 可燃物接触注意 |
5.「運搬」と「移送」の違い
似ているようで意味が異なるこの2つの用語は、試験でもよく問われます。
区分 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
運搬 | 一般的な輸送行為 | 資格不要。誰でも可 |
移送 | 移動タンク貯蔵所等を使った移動 | 危険物取扱者の乗車が必要 |
☑「移送=資格者必要」「運搬=無資格で可」と押さえておきましょう。
6.試験対策チェックリスト
- 危険物の運搬基準は指定数量未満にも適用される
- 容器は政令で定められた材質・構造・容量であること
- 積載時は固定・口は上向き・正規の容器使用
- 容器の表示は「品名・等級・化学名・水溶性」の4点
- 各類の特徴と「火気・水・混合・過熱」の注意点を整理
- 「移送」は取扱者が必要、「運搬」は無資格で可
まとめ
いかがでしたか。
危険物の運搬は、たとえ数量が少なくても火災や漏洩などの重大事故につながるリスクがあります。
そのため、容器の基準・積載方法・表示義務・類ごとの注意点などは法令で厳しく規定されています。
また、「移送」と「運搬」の違いもポイントです。
用語の意味を正確に押さえ、記述や選択問題に対応できるように準備しましょう。
今回もありがとうございました。
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